どうも、kenkenです。
先日、横浜流星主演、染井為人原作、藤井道人監督の映画、「正体」を鑑賞してきました。
【以下、映画の内容を含みます】
前情報なし、単に誘われて付き合いで見ただけだったのですが…想像を遥かに超える素晴らしい作品でした。
映画そのものも素晴らしかったし、テーマもいろいろと思うところがあり、最後まで引き込まれました。
途中、退屈する箇所が一切なく、終始前のめりで見入ってしまいました。
警察や世間、一部マスコミの理不尽にさらされる中、逃亡犯となってどん底の中、今日の自分のことで精いっぱいの状況の中で真っ当な心を失わない主人公と、その人間性に触れて支えようとする逃亡先の人たちの描写が心を打ちます。
特にラスト、介護施設に立てこもって警察が突入して来るシーンではただただ、祈る気持ちになってました。
そして、最後、希望の持てる結末がしっかりと描かれ、素晴らしい余韻を感じながら映画館を後にすることができました。
(珍妙などんでん返しで、うやむやなラストになる映画がよくありますが、あれをやられるとすべてが台無しな気分にさせられます)
監督の主張やこだわりの押し付けのような部分が感じられなかったのも好印象でした。
これは本当にお金を出す価値のある映画でした。
映画としての評価もさることながら、自分の体験が映画の内容にオーバーラップしたこともこの映画に感情移入させられた大きな要因としてありました。
私の身近な知人が冤罪で逮捕されたことがあり、長らく拘束されていました。
裁判でも一度は有罪判決となりましたが、控訴審で警察・検察の手抜き捜査や無実である証拠が明らかになって無罪となりましたが、本当に運が悪ければ一生犯罪者の汚名を着せられているところでした。
こういうことがあったので、この映画は絵空事では無いと思えたし、リアリティを感じさせられましたね。
そして、私の関係する組織で不幸な出来事が起こった際に、ある新聞社からこちらの都合はお構いなしで、一方的な主張に基づいた執拗な取材を受け、非常に不快な思いをしました。
そんなことをするのは一部の記者だけだとは思いますが、運悪くそういう記者にターゲットにされると事実を捻じ曲げられ、あとで真実が判明したとしても後の祭り。
その記者やマスコミは何の補償もしてはくれません。
そういう公権力の恐ろしさやマスメディアの理不尽さの記憶がよりこの映画への思い入れが深まることになったのだと思います。
いろいろ考えさせられましたが、兎に角面白い作品だったので、感想を書かせていただきました。